鉄(Ⅱ)は溶解度が大きく、中性付近でもかなり濃度が高いと言えます。それに対して鉄(Ⅲ)は中性付近では極めて難溶であることから、一般的に溶解性鉄といわれるものは鉄(Ⅱ)であると考えられます。
鉄(Ⅲ)は図-1から、中性付近でほぼ水酸化物として沈殿しますが、鉄(Ⅱ)は図4-2からpH9.0~12.0のアルカリ領域でなければ沈殿しない事が分かります。よって、溶解性鉄の一般的な処理法はpH9.5~10.0に設定し、10分以上の滞留時間をとることで非溶解性鉄として、沈殿除去するアルカリ沈殿法(共沈法※1)です。次に代表的な処理方法として、鉄(Ⅱ)を酸化させ、鉄(Ⅲ)の状態で処理する凝集沈殿法があります。空気酸化(自然酸化・曝気酸化)ではある程度の時間を要する為、あらかじめ酸化実験で反応時間等を確認する方が望ましいです。酸化促進剤(塩素、オゾンまたは次亜塩素酸)を用いる事で、酸化反応はほぼ瞬間的に行われますが、塩素は高価であること、取扱いに特別な注意が必要であることに留意します。また、pH及び水温を高くする事でも酸化を速められる事が知られています。こうして得た鉄(Ⅲ)は、凝集剤によって沈降処理されます。
溶解性鉄及びマンガンは一般的に上記のアルカリ沈殿法、凝集沈殿法の他に共沈法、硫化物法で処理されますが、そのほかにイオン交換樹脂法や、ゼオライトにマンガンを付着させたマンガンゼオライトと呼ばれるろ材に通水して処理する接触ろ過法などがあります。
※1 他の金属が水中に同時に存在すると、処理対象重金属が理論上のpHより1~2低い領域から沈殿する(これを共沈現象と呼ぶ)場合があり、この現象を利用した処理方法が共沈法です。ここで用いられる共沈剤には、一般的に鉄塩(塩化第二鉄、硫酸第一鉄)やアルミ塩(PAC、硫酸バンド)など毒性の低い金属が使用されます。
図-1 鉄(Ⅲ)の溶解度曲線
図-2 鉄(Ⅱ)の溶解度曲線
酸化鉄による河川汚染
下表の様に、処理方法には様々な特徴があります。弊社はこの中から凝集沈殿法、接触ろ過法を主として様々な現場で施工実績を持ち、また2つの工法を併用する事で目標処理濃度に合わせたプラント設計から設置、管理を請け負う事が出来ます。詳しくは、ぜひ当社までお問い合わせ下さい。
処理方法 | 長所 | 短所 |
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アルカリ沈殿法 |
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凝集沈殿法 |
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硫化物法 |
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イオン交換樹脂法 |
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接触ろ過法 |
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